総務省がまたやってくれました。
ソフトバンクでは10のコンテンツがカウントフリーの動画SNS放題「ウルトラギガモンスター+(プラス)」という画期的な料金プランを提供していますが、これに対して総務省が自主規制を求める方向で動いています。
ネット上では、「良質なサービスはなくなる」、「せっかく使い放題になったのに、わざわざ規制して何がしたいの?」など否定的なコメントも多いです。
今回は動画SNS放題「ウルトラギガモンスター+(プラス)」の問題点を解説します。
ゼロレーティングとは
携帯電話事業者が、特定の動画サイトやSNSを利用した際のデータ通信量を料金プランの通信容量から差し引かず、見放題にする「ゼロレーティング(カウントフリー)」という仕組みについて、総務省は電気通信事業法に基づく指針を作って一部を規制する方針を固めた。
まず、今回問題になっている「ゼロレーティング」について解説します。スマホで通信をすると、データ通信量に応じて料金が変わります。ギガを消費するという言葉が良く使われていますが、あれですね。
ゼロレーティングとは、特定のサービスに対して通信量のカウントをしないことを言います。
例えば、30GBのプランで契約をしていて、Netflixがゼロレーティングだとします。Netflixをいくら見ても30GBの通信量にはカウントされないので、Netflixは使い放題になります。
ソフトバンクでは、NetflixだけでなくTikTokやYouTubeなど10のサービスをゼロレーティングにしている上、それとは別に50GB通信ができるので、実質使い放題ようにスマホを使えるわけです。
カウントフリーとは、ゼロレーティングに対してソフトバンクやLINEモバイルが使っている名称で、意味は同じです。
ゼロレーティングの問題点とは
ゼロレーティングに対して総務省が問題だとしている点は2つあります。「通信の秘密」と「通信の公平性」の2つです。
通信の秘密の問題
ソフトバンクユーザーが、スマホでインターネット通信をしているとします。動画SNS放題のようなゼロレーティングのサービスを行う以上、ユーザーがどんな通信をしているか分からなければ、ゼロレーティングは不可能です。
つまり、ゼロレーティングを行う以上、ユーザーのインターネット通信の内容は常に見張られている状態なので、通信の秘密が守られていないのではないかという問題があります。
ちなみに通信の秘密は、日本国憲法で認められている国民の権利です。
通信の公平性の問題
ユーザー目線でいえば、ゼロレーティングのサービスが増えるのは好ましいことですが、特定のサービスのみゼロレーティングで優遇されると、そのサービスの利用者が増えるだけでなく、競合他社のサービスが参入しにくいという問題があります。
例えば、YouTubeがゼロレーティングで見放題なら、ゼロレーティングでないニコニコ動画は視聴されにくくなりますよね。
ソフトバンクだけの問題ではない
総務省はゼロレーティングに対して規制を進めていくとして、その影響はソフトバンクだけではありません。
実はゼロレーティングのサービス、格安SIMでも取り扱いしているところがあります。参考までにLINEモバイルとBIGLOBEモバイルを紹介します。
LINEモバイル「データフリー」
データフリーとは、対象サービス(MUSIC+でいえば、LINE・Twitter・Facebook・Instagram・LINE MUSIC)利用時にデータ通信量を消費しない機能のことをいいます。
データ容量を使い切っても(通信速度制限がかかっても)、データフリー対象サービスの通信速度は落ちません。
※「カウントフリー」は「データフリー」に名称変更しました。
LINEモバイル:データフリー
BIGLOBEモバイル「エンタメフリー・オプション」
BIGLOBEモバイルの料金に加えて月額480円(税別)からの定額で対象の動画や音楽をデータ通信量の制限なくお楽しみいただけるスマートフォン向けオプションです。
対象サービス:YouTube、 YouTube Music、 Google Play Music、 Apple Music、 AbemaTV、 Spotify、 AWA、 radiko.jp、 Amazon Music、 U-NEXT、 YouTube Kids
BIGLOBEモバイル:エンタメフリー・オプション
他にもゼロレーティングを展開している格安SIM各社も、今後規制されてしまうのでしょうか?
もしそうなら、50GB使える上に4月締め日まで全てのインターネット通信が使い放題で展開しているソフトバンク以上にダメージが大きいのではないでしょうか。
解決策はあるのか
個人的な予想ですが、これらの問題によってゼロレーティングが無くなることはないと思います。解決策としては以下が妥当な落としどころではないでしょうか?
通信の秘密
ゼロレーティングのサービスを受ける顧客への同意書と通達の義務化。
通信の秘密は憲法で保障された権利ですが、利用者が情報を公開するのは禁止されているわけではありません。知らない間にというのではなく、きちんと規約について説明した上で同意を行うのであれば、通信の秘密の問題はクリアできると思います。
通信の公平性
ゼロレーティング対象サービス会社側からの資金調達とその見える化。
通信事業者が特定のサービスをゼロレーティングにすれば、中小の競合は参入が難しくなります。しかし、サービス提供会社側が、通信にかかる費用を負担するという条件になれば、話は変わってきます。
これなら、一方的に特定のサービス会社を優遇しているわけではないので、通信の公平性の問題もクリアできるのではないでしょうか?中小企業の新規参入が厳しいのには変わりありませんが。
ゼロレーティングではないですが、auがNetflixプランを打ち出しているからといって、通信の公平性には引っかかっていないようですし。
今後、ガイドラインがどうなるのか、それによって各社対応を迫られることになると思いますが、ゼロレーティングのサービス自体は魅力のあるものなので、上手く残して欲しいものです。
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