スマホやタブレットを購入する場合、分割で購入する人が多いですね。また、それに合わせて「分割の審査に落ちた」という声も増えています。
現在、購入代金が10万円を超える場合、通常の審査とは違い、支払可能見込額調査が必要となり、年収や借入状況によっては審査が通らないこともあります。
「分割審査を通すために、収入を多めに申告したらバレちゃう?」、「収入がいくらだったら審査に通りやすいの?」最近では、こんな質問も増えてきました。そこで、今回は意外と知らない「支払可能見込額調査」の内容について解説します。
支払可能見込額調査とは?
クレジット契約や割賦契約(分割契約)を結ぶ時、支払可能見込額調査が義務付けられています。
これは、「割賦販売法」という法律によって定められているので、ドコモ、au、ソフトバンクどのキャリアでも同じです。ちなみに、10万円未満の契約時には、支払可能見込額調査は免除されます。
「余計なことすんなよ!」と、思う人もいるかもしれませんが、支払可能見込額調査を行う目的は消費者保護です。
悪質な勧誘などを行う悪質商法を助長しない事、支払い能力を超えるクレジット契約による多重債務のきっかけを防ぐ事、これらの目的で支払可能見込額調査が義務付けられています。
支払可能見込額調査を義務付けることによって、支払い能力のない人に過剰な割賦契約を結ばせることができないようになります。
10万円未満でも支払可能見込額調査があるケース
よくサイトやブログ等で「10万円未満なら年収を聞かれない」という話を見ますが、例外もあります。もし、携帯料金の滞納が頻繁にあった場合、10万円未満の分割であっても支払可能見込み額調査が必要になる可能性があります。
〈個別クレジット〉
家電や携帯電話など、店頭販売であって、比較的少額(10万円以下)の生活に必要な耐久消費財に係る個別クレジット契約については、延滞していないこと等を確認することを条件に、支払可能見込額調査を行いません。
経済産業省:早わかり改正割賦販売法
年収が分割審査に与える影響
例えば、15万円するiPhoneを分割で購入する場合、年収がいくらだったら審査に通るでしょうか?
これについては、1つの目安があります。
人事院「標準生計費」(単位=万円)】
4人世帯以上 | 3人世帯 | 2人世帯 | 1人世帯 | ||
住宅所有 | 住宅ローン無し | 200 | 169 | 136 | 90 |
住宅不所有 | 借賃支払無し | 200 | 169 | 136 | 90 |
住宅所有 | 住宅ローン有り | 240 | 209 | 177 | 116 |
住宅不所有 | 借賃支払有り | 240 | 209 | 177 | 116 |
標準生計費とは、簡易的に計算された生活維持費です。
例えば、1人暮らしと4人暮らしでは、生活にかかるお金は変わってきます。住宅ローンや家賃の支払いがあるかどうかも、大きく関わってきます。
表の上の2パターンは、家賃や住宅ローンの支払いがない状況、下の2パターンは住宅ローンもしくは家賃の支払いがある状況を意味しています。
家賃も住宅ローンもないケースとしては、実家暮らしなどが分かりやすいでしょうか。例えば、3人暮らしの家庭で家賃を払っている場合、生活維持費は209万円と算定されていますが、家賃や住宅ローンの支払いがないならば、169万円に下がります。
年収がいくらかだけでなく、家族や持ち家などの状況が審査に影響を与えるわけです。
実際に割賦契約が組める金額については、「年収 – 生活維持費 – クレジット債務」で算出されます。
年収は手取りではなく、総支給額で考えます。源泉徴収票に載っている年収ですね。給与明細で言えば総支給額の部分、社会保険や雇用保険などが差し引かれる前の給料となります。
生活維持費は上の表を参照します。
ここでの世帯とは「生計を共にしている家族の人数」だと考えてください。2世帯住宅で生計を別にしている両親や、家を出ている子供などは含めなくても大丈夫です。
クレジット債務とは、毎月払っているローン関連(リボ払い、分割支払い等)の債務です。
例えば、クレジットカード(ショッピング枠)での支払いが毎月4万円、キャッシングの返済で毎月1万円払っている場合、クレジット債務は4万円となります。
ちなみに「クレジット債務」には住宅ローンは含まれません。その他、クレジットカードのキャッシング、自動車ローン、奨学金、銀行や消費者金融などの借入も「クレジット債務」に含まれません。
15万円のiPhoneは、分割購入できるか?
例えば、3人暮らしで賃貸に住んでいる、クレジット債務は4万円だとします。年収は230万円だとしましょう。
15万円のiPhoneは、分割購入できるでしょうか?
- 230万円–209万円(生活維持費)–4万円=17万円
危ういですが、上記の例では17万円の枠があるので、iPhoneの分割審査に通る可能性が高いです。
与信枠をクリアしても審査に落ちる場合
計算では審査に通りそうでも、実際に審査に落ちる可能性もあります。それは、返済履歴や商品の担保価値など、様々な要素を総合的に判断して、審査は行われます。
とくに携帯料金の支払いが遅れている人や、クレジットカードやキャッシング関連で事故(延滞など)を起こしている人は、与信枠に問題がなくても審査に落ちる可能性はあります。
また、与信枠に関してはスマホの割賦だけでなくショッピング枠やキャッシング枠も含まれています。与信枠が40万円あったとしても、限度額30万円のクレジットカードを所持していた場合、10万円を超える分割は組めない可能性があります。
専業主婦やパート勤めの主婦が審査に通りにくい理由
ここまでの説明で、専業主婦やパートの主婦がiPhoneの審査に通りにくい理由が分かったかと思います。
例えば、夫婦と子供1人で共働き、家賃5万円でクレジット債務無しのパターンで考えてみましょう。
生活維持費が209万円なので、この時点でパートの主婦が収入見込額調査をクリアする年収を稼ぐのが厳しいのが分かります。正社員やフルタイムで働いているのなら、年収次第で審査に通る可能性もあります。
実際に主婦が10万円以上のiPhoneを分割購入する場合、夫の年収を合算して審査を行うのが一般的です。
夫のクレジット債務が4万円だった場合
例えば、夫の年収が200万円、妻の年収が60万円だった場合、夫の同意(来店もしくは店頭での電話確認で可能)が得られれば、年収を合算して審査を行えます。
その際、ここでもクレジット債務は4万円だとします。
- 260万円–209万円(生活維持費)–4万円=47万円
例えば、夫が限度額30万円のクレジットカードを所持していたとしても、iPhoneの分割審査は通るのがわかります(滞納などがない場合)。
年収って嘘をついてもバレないの?
「審査に通るように年収を多めに申告したいだけどバレる?」
バレるかバレないかの話で言えば、恐らくバレません。そもそも、支払可能見込額調査で申告する年収は自己申告が基本です。年収を証明する書類の類いは求められません。ご自身の年収も立派な個人情報なので、審査する側としても簡単に調べられるようなものではありません。
ただし、他社の債務状況については信用情報機関に記録があるので、バレてしまいます。クレジットカードをいくら所持していて、過去に支払いが遅れて停止されて、といった情報は、必ず審査時に確認されます。
例えば、一人暮らしのフリーターが賃貸アパートに住んでいて、15万円のiPhoneを分割購入しようと考えているとします(クレジット債務はないものとします)。生活維持費116万円とiPhoneの15万円を足した、131万円以上の年収がないと審査が通らないでしょう。
実際は、年収120万円でも150万円で申告したとしても恐らくバレようがありません。ただ、普通に考えて一人暮らしの年収120万円のフリーターが家賃を払いながら15万円のiPhoneを分割購入するというのは、中々ヘビーな状況だと思います。
そもそも、支払可能見込額調査は支払い能力を超える無理なクレジット契約を防ぐ目的で義務付けられているものです。
年収を多めに申告してバレるバレないというよりも、その申告自体が自分にとってリスクがあるものだと考えた方が良いとは思います。
今回の記事はあくまで目安です。実際の分割審査はさまざまな数字で決定されるため、今回の内容はあくまで目安です。また、確実に分割購入したいからといっても、決して嘘の申告をしないようにしましょう。
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